ごあいさつ
 日本地域開発センターは、経済界・学界の代表による民間からの発意により、地域・都市・環境など国土政策全般にわたる調査研究を目的として、1964 年に設立されました。発足以来、特定の立場に偏らないユニークな学術的研究機関として自主的な運営に努め、各分野の研究者と広く連携をとってまい りました。
  我が国の国土・地域を巡る状況をみると、急激な人口減少と高齢化の進展により、2050年には総人口が1億人を下回り、高齢化率も約40%にまで高 まることが予測されています。このような大きな変化に伴い、我が国の人と国土の関係も様々な面で変化していくことが考えられ、こうした変化に適切 に対応する国土・地域づくりが求められてきました。
 このため、国では2005年に、「全国総合開発計画」の根拠法となっていた「国土総合開発法」を抜本的に改正し、新たに「国土形成計画法」を制定し ました。この新しい法律に基づき2008年には『国土形成計画』が、また翌2009年にはそれぞれの広域ブロック毎に「広域地方計画」が策定されました。 国土形成計画では、国土を巡る状況の変化を踏まえ、それぞれの広域ブロックが自立的に発展する国土、美しく暮らしやすい国土の形成を目指し、東ア ジアとの円滑な交流・連携、「新たな公」を基軸とする地域づくりなど5つの戦略的目標を掲げました。
  当センターは、こうした国土を巡る状況の変化や国土政策の動きを踏まえ、近年では、多様な主体による地域振興、国際的な交流・連携による地域活 や国際競争力を有する都市づくり、低炭素地域・まちづくりなどを柱に様々な調査・研究に取り組んでまいりました。
  また、2011年3月11日の東日本大震災を受け、被災地域の早期の復旧・復興とともに我が国全体を災害に強い国土・地域に再構築していくことが強 く求められている状況の中、災害に強い国土・地域づくりにも今後、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  当センターは、2012年1月に一般財団法人に移行しましたが、これを機に、様々な立場の方々と幅広く交流・連携を図りながら、国土・地域づくり に関する諸課題に一層積極的に取り組み、研究・情報の拠点として、今後とも社会的責務を果たしてまいりたいと考えております。

[これまでの歩み]
1960年代の高度経済成長期には「日本列島の将来像」等の総合研究、専門家の国際交流など地域開発・都市問題に関する研究調査機関の中心として活躍し、その研究成果は1969(昭和44)年度の政府の「新全国総合開発計画」に大きく反映されました。

高度経済成長はその一方で、環境・公害問題、住民運動、価値観の多様化などさまざまな事態を生起させ、地域開発の対象は大きく広がりました。当センターは これらの課題に焦点を合わせて、研究に取り組み、その後「地方の時代」を先取りし、全国的なまちづくり気運の高揚に貢献してきました。

2008年に策定された国土形成計画は、国主導から国と地方の協働による計画、開発中心から成熟社会型の計画へと従来の国土総合開発の枠組みを大きく転換するものでした。当センターはこうした転換を先取りする様々な調査研究を進めてきており、その成果は国の政策転換にも影響を与えました。

21世紀に入り急激な人口減少と高齢化が現実のものとなっている今日、エネルギーと国土形成、成熟社会にふさわしい国際都市の形成、多様な主体による集落地域の活性化などの国土・地域を巡る新たな課題にも取り組んでいます。

2014年4月  一般財団法人日本地域開発センター
 
理事長 伊藤 滋
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