ごあいさつ

[はじめに]
 日本地域開発センターは、経済界・学界の代表による民間からの発意により、地域・都市・環境など国土政策全般にわたる研究調査を目的として、1964年(昭和39年)に設立されました。発足以来、特定の立場に偏らないユニークな学際的研究機関として自主的な運用に努め、各分野の研究者と広く連携を保っています。

[これまでの歩み]
1960年代の高度経済成長期には「日本列島の将来像」等の総合研究、専門家の国際交流など地域開発・都市問題に関する研究調査機関の中心として活躍し、その研究成果は昭和44年度の政府の「新全国総合開発計画」に大きく反映されました。
高度経済成長は、その一方で、環境・公害問題、住民運動、価値観の多様化などさまざまな事態を生起させ、地域開発の対象は大きく広がりました。当センターはこれらの課題にも焦点を合わせ、研究に取り組んでおります。その後「地方の時代」を先取りし、全国的なまちづくりの気運の高揚に貢献してきました。
1998年には、ガーデンアイランドを標語に「21世紀の国土のグランドデザイン」が策定され、多自然型居住・広域国際交流圏・地域連携軸・大都市のリノベーション等の方策が指し示されました。これまでの国主導の開発から地域を主役とする国土づくりへの転換を通じて、多様性に富む国土を築くことを計画の基本理念としています。ここに、長年にわたり当センターが追究してきました独自性のある地域の発展と主体としての地域という枠組みが提起されました。

[現在の課題]
21世紀に入り日本は成熟社会を迎え、地域の発展はこれまでとは異なる理念やスタイルが模索され、人づくりが大きな課題となっています。当センターでは地域活性化を担う人材の育成や組織化を主眼として、国のアドバイザー事業等を支援するとともに、まちづくり学校の開校・運営にも協力してきました。今後とも時代を担うリーダーの育成を海外も視野に入れて手がけていくことが重要と考えています。
現在、地域運営における財政問題は逼迫してきており、既存の枠組みにとらわれない地域経営が求められています。公共事業の見直しを進める国・地方自治体の政策(事業)評価が動き出し、各地でその取り組みが広がっており、行政運営が大きく変わろうとしています。PFIは財政事情も手伝って、いまや国および各地の自治体で取り組まれ、徐々に成果が上がりはじめています。 一方、重点課題であった市町村合併問題、地方の財源問題は、行政システムの転換を促しはじめており、地方分権の推進に伴い、新たな地域の枠組みや公民パートナーシップ、マネジメントシステムが必要とされています。

わが国は、ババブルの崩壊から長く不況が続いてきましたが、大都市部では景気回復の基調となってきています。しかしながら、地方においては、厳しい状況が続いています。過疎や高齢化は、農山村だけでなく地方都市の中心市街地においても深刻な問題となっています。一方、途上国の地域開発では日本の協力が期待されています。

また、構造改革は正念場を迎えており、経済対策の一環として都市再生特別措置法が成立し、特区構想が進みつつあります。
さらに、景観法の成立を契機に、景観への取り組みが、都市および地域の双方にとって重要な課題として改めて認識されてきました。
こうした状況を的確に把握し、課題解決に真剣に取り組んでいくことが極めて重要となっています。

[むすび]
当センターは、地域開発をめぐるこれらの諸問題に積極的に取り組み、情報・研究の拠点として、また情報発信源として、今後とも、その社会的責務を果たしていきたいと願っています。
 
2006年09月  財団法人日本地域開発センター
   
会 長 伊藤 滋
理事長 大西 隆

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