2023年度事業報告(2023.04.01-2024.03.31)

T.自主事業
1.機関誌(『地域開発』)発行事業
(1) 『地域開発』の発行状況
  事業計画に基づき、2018年度からは季刊とし、2023年度は、春号(通巻645号)、夏号(通巻646号)、秋号(通巻647号)、冬号(通巻648号)の4号を予定どおり発行した。編集委員による時宜にかなった特集化(国土計画、地域人材育成、地域価値とまちづくり、地域内循環)および60周年を念頭にした特別企画「地域開発レビュー」を伊藤理事長の論考「戦後日本の『地域開発シンクタンク』」をはじめとしてシリーズ化した。また、地域づくりで参考となる連載、書評・図書紹介の掲載や裏表紙を用いての若者の取組紹介など工夫をこらした。
(2) 『地域開発』の概要
 

1)2023年春号(通巻645)
  特集企画:地域の担い手人材の育成を考える
(執筆者 牧野 光朗、森 樹男、藻谷 浩介、牧瀬 稔、古賀 桃子、大滝 聡、嶋渡 克顕)
特別企画:地域開発レビュー
    :戦後日本の「地域開発シンクタンク」(伊藤 滋)
    :「日本の国土と国民生活の未来像の設計」について(川上 征雄)
    :21世紀の日本〜日本の未来設計(戸沼 幸市)
    :「萬新報」を読む―30年後の未来予想と新聞(山ア 朗)
連  載:韓国を読む その10 巨大都市ソウルと韓国均衡発展(江藤 幸治) 生きる(645-648)(岩国市錦町)

2)2023年夏号(通巻646)
特集企画:地域循環の滞りを手当てする
(執筆者 岡部 明子、佐藤 布武、いとうともひさ、黒澤 健一、加藤 潤、佐藤 研吾、岡部 典孝、渡邊 享子)
特別企画:地域開発レビュー
    :メガポリス研究と地域開発センターへの回顧(伊藤 達雄)
    :再読:丹下研の国土を捉えるアーバンデザイン「日本列島の将来像」から「21世紀の日本」へ〜(東京大学都市デザイン研究室)
    :フォード財団援助金による事業概要紹介
連  載:韓国を読む その11 巨大都市ソウルと韓国均衡発展(江藤 幸治) 生きる(酒田市飛島)

3)2023年秋号(通巻647)
特集企画:まちづくりのリデザインと「地域の価値」
(執筆者 松永 桂子、蕭 耕偉郎、鶴指 眞志、酒井 聡佑、山納 洋、武藤 良太、石橋 留美子、小林 清、大谷 悠、除本 理史)
特別企画:地域開発レビュー
    :フォード財団援助金による活動紹介
連  載:韓国を読む その12 巨大都市ソウルと韓国均衡発展(江藤 幸治) 生きる(飯豊町)

4)2024年冬号(通巻648)
特集企画:国土の未来と今後の国土計画の役割
    (執筆者 山ア 朗、大西 隆、木村 実、伊藤 将人、菅 正史、志摩 憲寿、瀬谷 創、中島 弘貴)
特別企画:地域開発レビュー
    :地域開発セミナー等イベントについて
寄  稿:事業を推進するはずの県職員は、なぜ事業を終了したのか(戸田 香)
連  載:韓国を読む その13 巨大都市ソウルと韓国均衡発展(江藤 幸治) 生きる(ニセコ町)
その他、書評、図書紹介などを掲載した。

(3) 編集委員
  委員長(編集長) 大西 達也(独立行政法人日本スポーツ振興センター理事)
委 員       岡部 明子(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
委 員       瀬田 史彦(東京大学大学院工学系研究科准教授)
委 員       松永 桂子(大阪市立大学大学院経営学研究科准教授)
2.「地域開発研究懇談会」等のセミナー事業
(1) 「地域開発研究懇談会」の開催
 

コロナ感染の影響で、地域開発研究懇談会および見学会の開催は見合せることとした。今後は、コロナ感染の状況をみながら実施する。

3.ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」表彰制度事業
「環境と暮らしにやさしい住まいとまちづくり検討委員会」の成果を踏まえて、建物躯体とエネルギー設備機器をセットとして捉え、トータルとしての省エネルギー性能やCO2削減等へ貢献する優れた住宅を表彰する制度として、2007年に創設し、2012年からは設備機器の対象を広げ、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」表彰制度として実施してきた。
本年度は第16回となり、応募企業数169社、申請件数230件で、その内訳は、継続が144社、203件、新規が25社、27件となった。
受賞は「大賞」3件、「特別優秀賞」83件、「優秀賞」90件、の計176件を選定した。 また、重複受賞となる「省エネ住宅特別優良企業賞」(5年以上連続して受賞)」88社、「省エネ住宅優良企業賞」(3年以上連続して受賞」21社、「審査委員賞」5社も併せて選定した。 審査結果は、2024年3月に当センターホームページに掲載するとともに、建築専門誌「近代建築」6月号に掲載することとした。 

ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー審査委員会
最高顧問  伊藤  滋 (一財)日本地域開発センター理事長・東京大学名誉教授
委 員 長  坂本 雄三 東京大学名誉教授
委  員  秋元 孝之 芝浦工業大学教授
委  員   寺尾 信子(株)寺尾三上建築事務所代表取締役
U.調査・研究事業
1. 2040年+の東京都心市街地像研究会業務(参加企業17社)
   「2030年の東京都心市街地像研究会」においては、都市再生緊急整備地域制度の充実を念頭におきつつ、政府が提唱する、低炭素化の中期目標年次2030年における東京都心部の将来像を作成した。この将来像作成のねらいは、「低炭素化、国際経済化、都市美化、高質な居住と文化、そして安心と安全」の5点であった。
 具体的には、2008年10月、当センター内に賛助会員などの参加企業による「2030年の東京都心市街地像研究会」を設置して研究を進め、都心3区を中心にコンパクトに絞ったエリアを対象に、民間開発ポテンシャル等も踏まえながら、「将来市街地像」をとりまとめた。これに引き続き、「シンボルプロジェクト(環2周辺、大手町、八重洲、江東、新宿)」また「地区別構想(品川、押上、臨海内陸部、江東、赤坂周辺、池袋」の検討を行い、加えて巨大都市における防災機能向上の観点から、備蓄機能を備えた分散かつ自立型の生活・生産拠点などについても検討の対象とした。さらに、2012年度からは、都心周辺地域の市街地像について、都心部との関連性に着目しつつ居住・産業・文化・景観・緑等様々な観点から検討を深め、住みたい東京のグランドデザイン等について最終的な取りまとめを行った。
 2015年からは、「2040年+の東京都心市街地像研究会」として、これまでの成果も踏まえつつ、さらにその先の2040年を見越した将来ビジョンに関する新たな視点での検討を行い、高齢化する東京の今後の都市計画の4つの戦略(「国際競争力」、「安全・環境」、「品格・居住」、「歴史・文化」)と11の戦術からなる具体的な提案を東京計画図案集としてとりまとめた。
 2018?20年度は、東京の国際競争力が東京区部だけでなく東京圏全体の都市機能や人口集積が根源となっていることを踏まえて、区部から検討のスコープを広げて東京圏全体を俯瞰した将来展望を行い、「2030年および2040年における東京のあり方」を「たたかう東京」「すみたい東京」「すてきに東京」「つくろう東京」の4冊に取りまとめて出版した。
 2021年度は、コロナの影響により研究会の開催が大幅に制限されたが、2022年度は、都心8区の都市再生や国際化について検討を行った。
 2023年度は、会員による国際化アンケートの結果も踏まえ、都心8区に加え外周15区も含めた23区全体を対象に、国際化や都心構造について検討を行った。


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