2012年7月号
通巻574号

特集 公共政策の形成と市民討議

 近年の政治の混迷化に、大震災後の政府や国会の対応の迷走が拍車をかけ、議会と選挙を核とした代表制民主主義とそれを基盤に成立する政府への不信が従来になく高まっている。これは日本だけでなく、世界的な傾向ともいわれる。
 こうした状況で注目されているのが討議デモクラシーだ。そのひとつの手法である市民討議会がこの数年、各地の自治体で実施され200件を超えるまでになった。日本で広がる市民討議会の事例とその傾向、評価と課題などを明らかにし、公共政策の形成における市民討議の可能性を考える。

特集にあたって
辻 利夫 認定NPOまちぽっと事務局長
市民の「公共形成権」と市民討議の意義
篠藤明徳 別府大学地域社会研究センター所長
市民討議会の広がりとその動向
佐藤 徹 高崎経済大学地域政策学部・大学院地域政策研究科教授
三鷹市の外環道中央ジャンクション地域検討会・基本計画における市民討議会の適用
吉田純夫 NPO法人市民討議会推進ネットワーク代表理事
新宿区の自治基本条例案・第二次実行計画案に関する区民討議会
辻 利夫 認定NPOまちぽっと事務局長
狛江市の多摩川河川敷のバーベキュー利用をめぐる市民提案と公共政策形成への責任
佐々木貴子 認定NPOまちぽっと理事長
愛知県豊山町における社会実験としての市民討議会
伊藤雅春 愛知学泉大学現代マネジメント学部教授、地域社会デザイン総合研究所長
市民討議会の課題と可能性
小針憲一 NPO法人市民討議会推進ネットワーク理事・事務局長
被災地の復興をめぐる市民討議
1) 新しい公共推進会議から被災地における市民討議の場の提案
吉田純夫   
2) 気仙沼市災害復興市民委員会の取り組みと、市民意見反映の課題
伊藤久雄 公益社団法人東京自治研究センター
3) なこそ復興プロジェクトの取り組み
大和田清隆 株式会社オリエンタルコンサルタンツ
自治体の参加型政策システムと市民討議会の可能性
小島 聡 法政大学人間環境学部教授
自治体の事業仕分けと無作為抽出型市民参加
長野 基 首都大学東京都市環境学部准教授
討議民主主義研究に見る討議の可能性と課題
井手弘子 筑波大学大学院人文社会系特任研究員
◎パリ学生寮街からの手紙・番外編
夏休み―世界遺産の運河クルーズ
寺尾 仁 新潟大学工学部准教授、前パリ国際大学都市日本館館長

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