2024年春号
通巻649号

特集 地域開発レビュー

 日本地域開発センターは、財団法人に認可されて今年で60年を迎えましたが、昨年より特別企画「地域開発レビュー」と題して、地域開発センターの初期の頃の動きを振り返る内容を取り上げてきました。本号では、地域開発レビューを特集といたしました。
 昨年の春号では、伊藤滋理事長の論考「戦後日本の「地域開発シンクタンク」」を掲載しました。センター設立時に、どのような研究者が集い、研究活動をすすめようとしていたのかを描いています。また、当時の取り組みとして、1968年に政府による公募「日本の国土と国民生活の未来像の設計」に対する研究提言があります。
 30年後の日本を予想する研究公募し、中間発表は1970年大阪万博で展示して、その後発表するという試みでした。9団体が研究を実施し発表していますが、この概要を、川上征雄氏に解説していただき、大賞の1つを受賞された早稲田グループの戸沼幸市先生に提案概要を紹介、磯村・高山グループで伊藤先生がとりまとめ、提案した提言「萬新報」は、山﨑明先生に考察していただきました。
 夏号については、初期の自主研究の紹介として、「メガロポリス研究」を伊藤達雄先生に回想していただきました。設立前から産業界より期待されていた「日本列島の将来像」の研究プロジェクトのリーダーであった丹下健三氏がその後どのような歩みを見せたのかという観点で、東京大学丹下研究室の歩みを掲載しました。秋号では、センターの研究プロジェクトとして、「日本列島の将来像」と双璧をなす「フォード財団援助金による活動」を紹介しました。
 5年間で当時55万ドル(約2億円)の援助金で、国際研究交流活動を幅広く展開していき、その活動概要を紹介しました。冬号では、「地域開発」自体の啓発や財団の研究成果報告として、地域開発の考えを国内外に啓発する各種セミナー、シンポジウムを実施していましたので、その概要を紹介しました。
 本号では、自主研究以外に途中から受託研究もはじめましたが、その中から2つ取り上げて紹介することといたしました。1つは、神宮外苑の再整備調査です。近年、オリンピックを念頭に、国立競技場の建替え問題があり、その後神宮外苑の民間再開発がクローズアップされている今日、2003年に実施した本調査を振り返る企画としました。もう1つは、バブル景気に突入する前に動き始めた臨海副都心について、当時の「東京湾奥」の研究活動について概要紹介を試みました。

小特集: 能登半島地震からの地域の復興を考える~レジリエンスを高めるために~

 2024年1月1日、能登半島地震により、能登半島全域さらに、石川県内周辺地域、新潟市臨海部にまで被害が及びました。半島全域での被害、とりわけ沿岸部の隆起等もあり、市街地・漁村が被災し、インフラに大きな被害を受けました。そして、救助が終わり、避難所、復旧、復興への取り組みがすすみつつあります。
 本小特集では、過去の大地震での防災・復興を参照しつつ、能登半島地域の被害の実情を確認しつつ、復興への道筋、特徴的な課題(市街地再生、広域連携、コミュニティケア、農漁村存続再編)を取り上げ、さらに、今後取り組みが必須となる原発への対応を探りました。

特集にあたって
編 集 部

『明治神宮外苑再整備構想調査報告書』から神宮外苑のあり方を巡って
編 集 部

対談 神宮外苑のリ・デザインとは
大西  隆
蓑茂寿太郎

東京大学名誉教授
東京農業大学名誉教授

「東京湾奥」という産学協同プロジェクト
編 集 部

回想:東京湾奥とパブリックデザイン
蓑原  敬

都市プランナー

●小特集  能登半島地震からの地域の復興を考える~レジリエンスを高めるために~
他国との比較で考える能登半島地震に見る日本の防災
西川  智

国際協力機構国際協力専門員 東北大学災害科学国際研究所特任教授

地震津波災害での消防─被災の特徴と復興への提言─
廣井  悠

東京大学大学院工学研究科 教授

地域を支える災害看護~減災とコミュニティのケアを再考する~
神原 咲子

神戸市看護大学看護学部 教授

現場から見た広域行政支援
田中  聡

常葉大学社会環境学部 教授

能登半島地域の漁業・漁港・漁村の復興を構想する~過疎高齢化の進む半島地域の漁村復興に向けた初動的考察~
富田  宏

株式会社漁村計画 代表取締役

寄稿
原発廃炉への道──能登半島地震に寄せて
今井  照 公益財団法人地方自治総合研究所 特任研究員
裏表紙 生きる(総集編(上))
編 集 部

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