2010年10月号
通巻553号

特集 農村地域の女性起業と「小さな加工」

 日本の農村、中山間地域では戦後まもなくの頃から、女性の地位の向上、栄養改善等を目的とする「生活改善グループ」が5〜6人の規模で形成されていた。彼女たちは味噌、漬物などの加工品を作ることもあったが、当時は市場もなく、近所に配る程度であった。
 だが、近年は農産物直売所、農産物加工所、農村レストランの動きが盛んとなり、さらに宅配便の発達により売れる場所を見出していった。また、直売所活動を重ねるうちに、残り物の加工に踏み出していくこともある。
 このように、農村地域、中山間地域では女性たちによる起業、特に「小さな加工」が始まりだしている。本特集では全国のそのような動きに光をあてていく 。

特集にあたって
関 満博 『地域開発』編集委員・一橋大学
エムアイ工房――北海道江別からの発信
寺島満喜子 北海道江別市教育委員会生涯学習課生涯学習係長
農作物の受託加工に展開――福島県会津若松市の「企業組合ぴかりん村」
関 満博 一橋大学大学院商学研究科教授
十王物産センター「鵜喜鵜喜」を拠点にした食品加工クラブの活躍と地域力
小山 修 財団法人日立地区産業支援センター
規格外のさくらんぼから特産品開発へ
――南アルプス特産品企業組合・ほたるみ館(山梨県南アルプス市)
立川 寛之 八王子市広聴広報室秘書担当
農産物の受託加工を全国展開する小池手造り農産加工所
――独自のビジネスモデルで大きく成長
長崎 利幸 (有)アーバンクラフト代表
水田王国とやまの中山間地域――氷見市と高岡市を例に
長久 洋樹 高岡市役所
無人市から直売所、小規模加工へ展開――島根県江津市「住江ふれあい市」
西村 裕子 一橋大学大学院商学研究科
道の駅と女性加工グループの相乗効果――広島県北広島町「早乙女たちの台所」「よりんさいや」
松永 桂子 島根県立大学総合政策学部准教授
イチゴの生産・ケーキに加工・カフェレストラン
――6次産業化のモデル「風工房」(高知県中土佐町)
畦地 和也 高知県黒潮町役場
◎<調査報告>
「地域環境創造」における政策統合の必要性:環境問題の本質的課題に地域はどう立ち向かうべきか(1)
ローカルイニシャティブによる地球温暖化対策の意義と課題──京都府の地球温暖化対策を例に
奥谷 三穂 京都府立大学公共政策学部准教授
◎<調査報告>
辺境の村の自然放牧乳業事業の展開──岩手県田野畑村産業開発公社
関 満博 一橋大学大学院商学研究科教授
◎<新連載>パリ学生寮街からの手紙 第1便
城壁から学生寮街へ──パリ国際大学都市
寺尾 仁 パリ国際大学都市日本館館長
◎<連載>地域資源∞全国展開プロジェクト 第3回
旭川商工会議所:旭川工芸ブランドの構築
──世代を超えた職人技術の競演による新たなクラフト製品開発
林 健太 日本商工会議所流通・地域振興部
◎<地域振興の視点>
韓国、60年間の空間計画
大西  隆 『地域開発』編集長・東京大学
◎<事業案内>
「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック 2010」 募集案内・説明会開催案内

財団法人日本地域開発センター

◎<書評>横浜市・鈴木伸治/編著
『創造性が都市を変える――クリエイティブシティ横浜からの発信
★内容のページへ
上野 信子 大阪市立大学

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