「親水公園」などに着目していた。しかし地域振興プラン策定委員会は、地域活動を行っている団体やそこに活動する人たちの意欲こそが町の資源であるという視点を打ち出してくる。地域活性化のポイントは「モノ」ではなく、意欲ある「ヒト」や「コト」にあるのである。
その小須戸の良い資源=「町民のまちづくり活動」をさらに展開させるものとして「まちづくり活動基金」が創設されている。基金をつくろうというときにも、小須戸の人びとは現実的である。町の資金を受け入れる、町民から募金を募る、そういうときに信頼される団体として、地元に根ざした「商工会」を受け皿にしている。
地元事業者による商工会が受け皿組織になったことは基金の信頼性を高めることに役立ったが、同時に商工会自体が、合併後にも地域振興の中心として存在意義を確立することにつながった。基金の助成審査、助成金を受けた団体の記録は読んで楽しい。住民の主体的な活動がどれほどまちを活き活きとさせるものか、よく伝わってくる。審査会場で、一般の見学者も発表を聞いて応援したい団体がでたら資金援助として“おひねり”を出すという方式で、活動に参加していける。
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まちづくりは情報戦でもある。まちづくり活動基金があっても、応募団体がなければ成果を生むことはできない。ここでも身近な公民館の広報誌に折りこむ、新潟日報に情報を売り込む、ブログで情報発信を行うなど、知ってもらうことを着実に実現している。官中心でなく、あくまで民間のイニシアティブを官が応援していくというスタンスをつらぬいたことが、共感の輪を広げ、地域資源の発掘と活用につながったのではないかと本書を読んで考えさせられた。 |