2011年8月号
通巻563号

特集 農山村に拡がる「集落営農」

 減反、高齢化、担い手不足、耕作放棄地、米価の低迷などの国内的事情に加え、近年の農産物の自由化、TPP等、日本農業をめぐる環境は大きく変わりつつある。加えて東日本大震災によって農畜水産業は新たな問題を抱えることとなった。
 しかし、水稲をベースにする農業地域では、すでに1970年代中頃から小規模農業からの飛躍、農地の保全を強く意識して草の根的に多様な取り組みがされてきた。それは「集落営農」といわれ、2000年代中頃には政策体系の中に位置づけられ一気に拡がった。共同化をベースにする「集落営農」スタイルの果たす役割は大きく、震災後の復旧・復興を含め、農林畜水産業の今後のあり方に重大な影響を及ぼすであろう。
  本特集ではその地域的な特色を明らかにし、今後の可能性を見ていく。

特集にあたって
関 満博 『地域開発』編集委員・明星大学
栗山町の農業を新たなステージへ導く3つの集落営農の農業生産法人
酒本 宏 株式会社KITABA代表取締役社長
栃木県大田原市/6戸の農家による農事組合法人
──次の課題は複合経営「グリーンリーフのざき」
関 満博 明星大学経済学部教授
埼玉県小川町/有機農業が集落の未来を拓く下里集落
立川寛之 八王子市広聴広報室秘書担当主査
営農センターを中核とし、全農家が参加する「飯島町方式」の地域営農システム
――「地域複合営農」を目指す
長崎利幸 有限会社アーバンクラフト代表
地域の農業所得を高める牽引役「集落営農」
――富山県高岡市「岡御所営農組合」
吉本恭子 高岡市役所
兼業農家集落の豊かな人材を活かした集落営農――滋賀県甲賀市酒人地区
足利亮太郎 甲陽学院高等学校教諭
広島県北広島町/「全戸参加型」の集落営農法人
――米の直売をつうじて消費者と交流を深める「東山」
松永桂子 大阪市立大学大学院創造都市研究科
こうち型集落営農のモデル――高知県本山町・吉延営農組合
畦地和也 高知県黒潮町産業推進室室長補佐
地域ぐるみでの元気な農村集落の再生:村丸ごと生活博物館(熊本県水俣市)
大西達也 株式会社日本政策投資銀行地域企画部地域振興グ ループ参事役
◎<講演>伊藤滋の東京グランドデザイン2030 第2回
世界に誇れる持続可能な環境先端都市・東京
伊藤 滋 早稲田大学特任教授
◎<寄稿>
土地ごとに花開く多彩なライフスタイルによる都市・地域づくり
――暮らしや地域をつくる“共助・共同による「新しい公共事業」”
高村義晴 前内閣官房地域活性化統合事務局参事官、
東大まちづくり大学院地方都市再生プロジェクトチーム
◎<地域振興の新展開>ライフスタイルのブランド化への歩み
日本、木の文化と地域づくり:球磨人吉の地域づくり
藤田 勲 一般財団法人神城文化の森藤田財団理事長
◎<特別連載>復興へ! 東日本大震災・その4
復興への歩みを、もっと早めるべきではないか
大西 隆 東京大学大学院教授、東日本大震災復興構想会議委員
◎<連載>商工会議所が取り組む観光振興 第2回
平成22年度きらり輝き観光振興大賞受賞:松山商工会議所(愛媛県)
──「坂の上の雲」を軸に事業展開
日本商工会議所 流通・地域振興部
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