この本は、まちの人、学者、行政などの人々がやっさもっさとまちかつぎ(再生、育て、発見)をした現場からの本音の本で、今、お困りの特にまちづくり仕掛け人の人々にはヒントがいっぱいだ!
読んだら次に延藤実学を是非お奨めしたい。
目次を星座に仕立てている。なぜ星座か。
それは多分こういうことだろう。4つの章を星巡りのように散りばめる導入は四象限という無窮の弧に、ここでは「楽」、「協」、「育」、「軋」のキーワードを置いたが、実は「歓喜咲楽」「私発協働」「対話共育」「軋変可笑」という母体のキーワードが薄闇の彼方に見え隠れしている。
漢字一文字の恐るべきパワーとは果てしない宇宙を形成している「星」であると、延藤星人はそう言いたいのであろうと、そやさかい星座がいちばんええんや、とこう言いたいのではなかろうか。
ところで、この四象限という概念は私の手には負えないので単なるイメージにて未知なる無窮に挑むとするが、「楽」の星座に満ちあふれる笑いのさんざめきがまるで身体を楽器のように通り抜けるのは何だろう。
「笑い」の杓子定規を放り投げた若き行政マン、この「一発芸、掴み技」で住民説明会という固い現場で一体何をしてくれるんや、という抱腹絶倒の超絶技巧。
まず、住民の意向を第一にといいながら、ほとんどの公共事業は最初に設計図ありきで、住民はどうせ型どおりの冷ややかな場で発言はしても聞くだけという儀式に終わっていたものが、劇的に変る一瞬を活写している。これは勿論仕掛け側にそういうスキルが必要で、「創造は笑いとともにはじまり、歓喜によって成就します」という厳かな延藤星人の宣託が点滅しているのだ。 |
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「祭り」では赤岡の「冬の夏まつり」、道路でコタツに入った子どもがうっとり。それだけで異界へ誘う笑いが満ちあふれている。古い建物や路地にこんなに素晴らしいタカラものが、という地域発信の気づきを延藤星人のキラキラマナコがめっちゃおもろいでと言っている。
「面白いあったかい人々と何かやりたい」という漠としているが、強い思いがまちの人につながるとこういう底知れない楽しみだらけの祭りがはじける。
「対話共育」、ワークショップ、ファシリテーターという高度な会議技術の劇的展開を実際に私は間近に見てきたが、ここには「分かち合い」
とか「トラブルをエネルギーに」とか独特の言葉が出現する。あくまで「そこの人、土地」の空気、文化を「生け捕りにする」というアナログ手法である。そこに飛び交う言葉を使うから面白く、行政など仕掛け人には一番難しい手法らしい。
そして最後に「コミュニティビタミン」とはこの本の血の巡りを促すまち再生の術語として今にも乾いたまちへ飛び出す用意をしている。 |