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この数字は、米国、日本、ドイツの自動車ナンバープレートの種類である。地方分権で有名なドイツは、下表のように人口は日本の3分の2程度ながらナンバープレートの地名別種類は400を超え、我が国の5倍あることになる。
■表 ナンバープレート数 日・独・米比較 |
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ドイツ
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日 本
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米 国
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人口(万人)(A) |
8,200
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12,700
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28,500
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ナンバープレート数(B) |
435
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87
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51
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A/B 万人/種類
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19
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146
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570
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人口は2001年国連データ |
たかだかナンバープレートと言ってしまえばそれまでだが、ドイツでは435種類のうち、人口50万人以上の地域は2.8%の12種類しかなく、人口5万人以下の地域では207カ所がそれぞれ独自のプレートを保有しているという。ドイツにおけるプレート数の多さは、その地域の自立意識の高さと地域への誇りと裏腹の関係が見える。写真1のミュンヘンの場合、左端にEUという枠組みを意識しながら地域への拘わりが感じられるものになっている。
他方、米国では、州の権限が強く、基本的には50の州毎に1つ(州によって多少デザインが異なり、選択できるケースもある)と首都ワシントン特別 |
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区の計51となっている。しかしながらフロリダ州の“Sunshine”のように州の愛称、州の特産品オレンジとその下に州の形を表示したものなど各州が工夫を凝らしており、州の独自性を主張し、見ていても楽しいものにしている。
2.ご当地ナンバープレート──倉敷ナンバー?
現在、我が国では47都道府県で87種類となっている。最近では、1994年の「湘南」ナンバーが話題になり、1999年の「栃木」が「宇都宮」と「とちぎ」に分割されたのが直近の新設であった。これは、国土交通省の管轄の陸運支局や自動車検査登録事務所の所在地の名称に起因している。従って、従来からご当地版プレートを新設するには、支局乃至事務所の誘致・新設が必要となっていた。
ところが、歴史的に浜通り、中通り、会津の3地域に区分されていながら、「福島」、「いわき」の2種類になっている福島県の会津をはじめ、仙台、伊豆、尾道、倉敷などが、独自ナンバー構想に名乗りをあげるという動きが最近話題となった。所管の国土交通省としても昨年末「ナンバープレートの地域名細分化等に関する懇談会(座長杉山武彦一橋大学副学長)」を設置し、地元からの要望も聞きながら検討を進めつつある。
地域への拘わり、独自性の強い地域程この種の要望が強い訳で、ある意味では誇りの裏返しである。地域の名前が露出すればするほど地域のアイデンティティが強まるという意味でご当地ナンバーの意義は大きいのではないだろうか?
地方分権が叫ばれて久しい。地域が歴史と伝統を大切にし、政策的にも財政的にもある程度独立性を保持していかなければ実際的には分権化は難しい。制度的枠組みも重要であるが、各地の成功事例のように、何より各地域が独自性を意識した地域づくりを進めていくことが最も重要であろう。更に、「走る地域の広告塔」として地域の存在感を示しうる一つの象徴としてのナンバープレートは、市民の地域アイデンティティや、帰属意識へのインパクトも大きいと思われる。
倉敷市は、大原美術館をはじめとする美観地区、雄大な瀬戸内海、我が国有数の水島コンビナートなど、岡山県の代表的スポットを抱えている。そこで、10年ほど前に自動車検査登録事務所の誘致を図ったことがある同市では、国土交通省の規制緩和の動きも睨みつつ、今年7月に2004年度予算編成に向けた24項目の政策重点事項の一つとして「倉敷ナンバー」を可能にする地域ナンバー制度創設をまとめている。 |
■図 倉敷のプレート(筆者案の例示) |
我が国の再生に最も必要なことは、各地域の再活性化と自立ではないだろうか?効果が薄いとかコスト増になるとか否定的なことを言えば前に進まない。従来の枠組みにとらわれず、民間の知恵を導入して、例えば、どうすれば管理コストが少なく実施できるかといった発想転換をしながら、地域活性化に向けたあらゆる手段を国を挙げて駆使し、成功事例を積み重ねていくことが重要ではないだろうか。
ナンバープレートの番号を自分で決められる希望ナンバー制が導入されて5年程度経過し、規制緩和が進みつつあることも事実である。前述の国土交通省の懇談会では年内にも方向性を決めていく予定のようであり、地域の自立性、分権化を後押しする一方策としても、また、観光振興、地域振興の観点からも、地域の意欲を評価して、当分野でも規制緩和が待たれるところである。
資料:「ドイツにみる地方分権社会がイメージするもの─自分の街の存在感を示そう─」
1999年10月 日本政策投資銀行フランクフルト駐在員事務所 |