2005年度事業計画
T.月刊誌『地域開発』の発行
 機関誌 『地域開発』は、月刊誌として2005年4月で487号となる。
 時代の流れを見据えて質の高い情報をより広く提供するため、一層の内容充実を図り、幅広い読者層に有用な情報提供をめざす。
 前年度は地域力、少子化問題、ものづくり、阪神・淡路震災10周年などをテーマに企画した。
本年度は、地球環境(京都議定書)問題、景観問題、国土計画論、広域行政論など新しい動きを捉え、将来への指針となるような情報提供、企画編集をめざす。


 ●『地域開発』編集方針
@内容
地域振興に関連するテーマをもとに特集を組み、地域の自立と連携を促進する。また、広く内外在住の研究者、実務家に寄稿依頼するとともに、問題を深化するため、独自の調査研究を行う。
A編集方法 編集委員会において、上記に関する議論を行い、担当編集委員のもとで、企画を進める。
B対象読者 地域経済人、地方自治体職員、市民団体、地域問題政策担当者・研究者・実務家など。

●編集委員会の方針
  地域の自立と連携を支援する『地域開発』
●編集委員会
  委員長 (編集長) 大西 隆 (東京大学先端科学技術研究センター教授、 当センター理事長)
  委 員 関 満博 (一橋大学大学院教授、当センター理事)
  委 員 矢作 弘 (大阪市立大学大学院教授、当センター理事)
  委 員 根本祐二 (日本政策投資銀行地域企画部部長)

U.「地域開発研究懇談会」の開催
 地域開発についての会員形式セミナーである「地域開発研究懇談会」は、前年度末で通算開催395回を数える。
 2005年度においても、原則として年10回開催し、都市・地域に関わる一層幅広い分野からテーマや講師を選び、会員等に対し時宜を得た、有意義な情報を提供していくように努めることとする。
 このため、センター理事の方々の特段のご協力を仰ぐと共に、センター職員の全 員参加による「研究懇談会推進会議」により、企画・運営の一層の充実を図っていくこととする。
 また、賛助会員の方々を対象とした「地域政策講演会」も、タイムリーな現地見学を取り入れるなど、工夫を凝らして実施していくこととする。

V.調 査・ 研 究
 当センターの調査・研究は、受託業務を中心に、次のように行う。
 1. 受託予定業務
・地域振興アドバイザー派遣事業
   本事業は、地域振興に関する多様な地域の要望に対して、地域づくりの専門家を派遣し(約20地域に3名のアドバイザーを年3回派遣)、地域課題の検討を支援する事業である。テーマは、地域の活性化、中心市街地の活性化、第3セクターの経営問題等と多岐にわたっている。現在地方自治体にとって懸案となっている市町村合併後の地域づくりや施設管理活用策も主要なテーマとなっている。
・地方拠点都市整備支援事業
   平成4年に地方拠点法が施行され、そのフォローとして各拠点都市地域が策定した基本計画に基づく整備に関する支援を実施してきている。主な業務は、地方拠点法に関する施策研究会という研修会の実施と、地方拠点都市地域に関する情報誌の企画・発行である。
・中南部都市圏ゼロエミッション計画策定基礎調査
   本調査は、平成12年度に策定された「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の実現策を普天間飛行場跡地利用との関連で捉え、現在の状況や今後の動向を把握し、ゼロエミッション・モデル都市構築を推進する方策を検討する。
 また、産業・機能導入調査と連携しゼロエミッションと環境産業との連関を主要産業の一部として発信する準備を行う。
 最終的に、宜野湾市周辺エリアにおけるゼロエミッション推進施策の基本的考え方、方向性及び課題、今後の取組方針を示し「普天間飛行場跡地利用基本方針」への反映を図る。
・真庭地域木質資源循環推進調査
   2000年度より、林業・製材が盛んな岡山県真庭郡久世町において、木質資源の産業化を図る検討を、事業者・行政と共に行ってきた。昨年は、「プラットホームまにわ」から地域会社を2つ立ち上げ、事業が動き出した。今年度はそれを拡充するとともに、他の事業化の検討やバイオマスタウンとして地域づくりへ発展させていくことが必要である。4月から郡全体で合併することを機会に、より広範囲な取り組みに対して、支援および事業を推進していくための調査を実施する。
・既成市街地再開発調査
   都市基盤整備公団と東京電力鰍ゥら成る「既成市街地と都市基盤整備に関する研究会」を組織し、都市機能の向上とよりよい住宅の供給に資することを目的として、土地の高度利用とエネルギーの有効活用のあり方について検討する。
  本年度は、決して良好とは言えない現在の都心部での環境の中で、原点に立ち返り「住み手にとり、真にゆたかな都市環境・居住環境とは何か」を年間活動テーマに活動を行うことをめざす。
・プランニングスクール実施運営支援
   「東京大学先端まちづくり学校」は、まちづくりを担う人材を育成することを目的として、東京大学先端科学技術研究センターが中核となり、大学、民間企業、NPO、自治体、政府系金融機関等の協力を得て、アカデミックで実践的な講義や研修を行うもので、2001年度から実施されている。
 当センターは、「東京大学先端まちづくり学校」の立ち上げから参画し、運営支援業務を担当しており、2005年度も引続き受託する予定である。
・タウンエコエネルギーシステム研究
   早稲田大学のリーダーシップのもとに組織された関連の大学、企業・団体をメンバーとする技術開発コンソーシアム(環境都市再生推進会議)の一環として、16年度〜18年度の3ヵ年計画で、地球温暖化対策と都市再生の連携プロジェクトについて研究するものである。
 内容としては、イ)バイオマスシステム・複合型システム、ロ)システム運用ソフト、ハ)都市再生プロジェクトとの統合事業化モデル等について、都心型、郊外・ニュータウン型、地方都市型それぞれについて検討を行う。
・既成市街地再開発調査
   都市再生機構と東京電力鰍ゥら成る「既成市街地と都市基盤整備に関する研究会」を組織し、都市機能の向上とよりよい住宅の供給に資することを目的として、土地の高度利用とエネルギーの有効活用のあり方について検討する。
 本年度は、決して良好とは言えない現在の都心部での環境の中で、原点に立ち返り「住み手にとり、真にゆたかな都市環境・居住環境とは何か」を年間テーマに活動を行う。
・外苑東通り研究会
   世界の様々な都市と競争関係にある中で、現在、東京は都市としての「力」を問われている。「外苑東通り」を地域軸とする、青山、六本木、飯倉、芝などの地区は、東京において、生活・文化・ビジネスが新たに複合して国際的な活力を生み出すためのロケーションとして、極めて大きな潜在力を秘めている。
 そのため、本研究会では「外苑東通り」を軸とする地域を一体的に認識して、文化、アメニティ、にぎわい、さらには都市生活の安全といった観点に留意しつつ、すでに開発、計画中の都市開発プロジェクトを広い視点から捉え、断片化しがちな街づくりを有機的にまとめあげていくための、理念やあるべき姿、さらには官民協力(パブリック・プライベート・パートナーシップ)による実現手法などを幅広く検討、研究、提言していく。
・環境と暮らしにやさしい住いとまちづくり検討委員会
   環境に配慮した住いやまちづくりへの要求は、住む側はもとより、造る側、さらには行政も含めて、今後ますます強くなっていくものと考えられる。1)地球温暖化防止や省エネルギー問題などの社会的要請の観点と、2)生活者としての居住者ニーズの観点から検討する。
 平成16年度は、建物(躯体)とエネルギー設備機器をセットとして組み合わせたトータルとしての住宅について、CO2削減、省エネルギー、快適性を指標とした評価基準の必要性を確保した。
 本年度は、シミュレーションなどを実施して、具体的な評価方法をとりまとめ、提言を行う。
・環環境共生先導都市づくりの仕組みに関する検討調査
   都市再生機構は、保有地における緑・水などの貴重な環境資源およびこれまで個別プロジェクトで蓄積してきた技術ノウハウを活用することにより、先導的な環境共生都市づくりについての取り組みを早期に実現することが使命とされている。
 そのため、本調査では、様々な個別の要素技術を有する民間事業者等を誘導する“環境共生先導都市づくりの仕組み”モデルプロジェクトで具体的に検証することにより総合的な環境共生先導都市を実現することを目的とする。

 2.そ の 他
・都市再生推進のための展開方策について
   都市再生は、当面の経済再生のみならず、市民生活環境や都市構造の改革、新産業の創出等多様な目標を実現するために、官民、中央・地方自治体等挙げての推進が不可欠である。そのため、大都市だけでなく地方都市においても、その新しい意義についてのキャンペーンを展開することが求められている。当センターも、そのために有効で効率的な運動方策の提案を行うとともに、その実施・運営等に参画していくこととしたい。
・地域開発に関する国際交流への支援・協力
   現在、地域社会は、地球を舞台に国際交流や文化交流が繰り広げられる国際化
時代に向き合っている。また、インターネット時代を迎え、情報は瞬時にして、遠隔地を結び、日々の暮らしで口にする食料もグローバル化が顕著である。当センターは、設立当初より国際シンポジウムや若手研究者の国際研修留学プロジェクトなどを行ってきているが、今日の国際化時代の研究交流等においてその役割は以前にも増して意義のあるものになってきているので、その支援・協力を行っていくこととしたい。
・第3セクターに関する経営問題支援
   全国の市町村で80年年代から90年代にかけて設立されたいわゆる第3セクターは、市町村合併を契機として、再編および存続の事態に直面する。地域経済社会において、適切な事業規模や内容そして事業プログラムの見直しが求められており、そうした取り組みへの協力や支援を行っていきたい。
・多摩市の福祉計画改定調査
   多摩市では、本年において各種福祉部門の計画が改定される予定である。以前、高齢化社会ビジョン作成、介護ニーズ調査を実施してきたが、地域福祉、障害者福祉、高齢者福祉、保健医療等に多岐に渡る計画策定の支援を行っていきたい。
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