2010年12月号
通巻555号

特集 リニア中央新幹線と地域開発

 低成長・成熟社会といわれて久しいこの時代に具体化してきた、リニア新幹線の計画を読者のみなさんはどう見ているだろう。環境に過大な負荷をかけかねず、駅開発などで公的支出も小さくない大規模開発事業に否定的な人も多いだろう。私もそういう見方は否定しないが、久しく出てこなかった新しい国家的プロジェクトにわくわく感を隠せないのも事実だ。本特集では、現時点での最新の動向や論調、そして沿線の取り組みを集めた。微妙な時期で執筆を辞退された方も多かった中、お引き受けいただいた方々には深く謝意を表したい。

特集にあたって
瀬田 史彦 大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授
中央新幹線計画の現状と今後の展望
中橋宗一郎 国土交通省 鉄道局幹線鉄道課課長補佐
リニア中央新幹線と地域開発の方向性
森地 茂 (財)運輸政策研究機構 運輸政策研究所所長
リニア中央新幹線の必要性と問題点を考える
橋山禮治郎 千葉商科大学大学院客員教授、アラバマ大学名誉教授
リニア中央新幹線がもたらす効果と地域づくり一考
加藤 義人 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)研究開発第一部長
リニア中央新幹線と相模原市の取り組み
大野 友和 相模原市都市鉄道・交通政策課
リニア交通時代と山梨――ホップ、ステップ、そしてジャンプ
花岡 利幸 山梨大学名誉教授
地域の先人の思いを未来へ紡ぐ――南信州(飯田下伊那)のリニアへの取り組み
牧野 光朗 南信州広域連合長(飯田市長)
リニア中央新幹線と東濃東部
丸山 輝城 中津川商工会議所会頭、東濃東部リニア停車駅誘致期成同盟会会長
◎<研究報告>
港湾整備事業における行政体制の実態と今後のあり方について
――大阪湾の港湾整備事業の分析をもとに
林 昌宏 大阪市立大学大学院創造都市研究科客員研究員
◎<調査報告>
辺境の農業をベースにする新たな食品工業の発展――中国黒龍江省チチハル市の展開
関 満博 一橋大学大学院商学研究科教授
◎<連載>地域資源∞全国展開プロジェクト 第5回
塩釜商工会議所:地域が一体となって進めるブランド化 ──塩作りから始まる新たな特産品開発
前田 亞里 日本商工会議所流通・地域振興部
◎<地域振興の視点>
地域づくり表彰 妻有アートトリエンナーレ等が受賞
大西 隆 『地域開発』編集長・東京大学
◎<書評>藻谷浩介 著
『デフレの正体――経済は「人口の波」で動く
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茂木愛一郎 慶應学術事業会代表
◎<書評>岡部明子 著
『バルセロナ――地中海都市の歴史と文化
★内容のページへ
阿部 大輔 東京大学大学院
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